[巻末大特集]人生、最後は回想を楽しむ力

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三浦雄一郎 寺田農 伊奈輝三 杉本清 草野仁 柳生博
坂東眞理子 釜本邦茂 山川静夫 土屋賢二 酒井政利 山下真司 福本豊

その反芻の醍醐味

輝いていたあの瞬間を、繰り返し味わう。幸せだった、よくぞ決心したものだ、あれが運命だった、なぜ勇気を出せなかったのか――うつろう時のなかで、記憶という「人生の財産」を楽しむ知恵

誰しも、心の奥にしまい込んでいる自分だけの思い出がある。ホコリを被っているその記憶を引っ張り出し、もう一度、あの頃を思えば、今まで培ってきた人生の豊穣を味わい尽くすことができる。

【Ⅰ】
小椋佳 加藤一二三 宗次徳二 柳生博
カシアス内藤 姜尚中 大谷昭宏
これも自分の財産だと、今なら思える

いろんなことがあった――
後悔と失敗の苦さを、しみじみ味わう

 俳優の柳生博さん(84歳)は、ありし日の祖父との記憶を今も思う。

「僕は13歳のとき、祖父から『一人前になるために、旅をしろと言われ、1ヵ月間の旅に出ました。八ヶ岳の山々を巡り、野宿を続ける過酷な旅でした。その帰路、家で迎えてくれる祖父の姿が見えたとき、僕は『じ〜ちゃ〜ん』と手を振り、涙をためながら駆け寄った。祖父は僕の肩を抱いて『顔を見せろ』と言う。僕は涙を見られたくなくて、下を向いたままでした。すると祖父は僕のアゴをあげて、『いい顔になった』って言ったんです。



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