[巻末特集]さみしさだけが人生だ

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人はみな、大切な人を喪って生きていく

中村紘子 半藤一利 中山素平 西城秀樹 与謝野馨
岸田今日子 筑紫哲也 盛田昭夫 蜷川幸雄 豊田泰光

納得のいくお別れなんて存在しない。大事な人に先立たれたときは、後悔や不安がつきものだ。それでも、死別の悲しみや切なさを背負って生き続けなければ、残された人が前に進むことはできない。

【Ⅰ】
忘れられない人だった
あなたのいたところに
今もぽっかりと穴が空いている
渡哲也 根津甚八 地井武男 阿佐田哲也 鴨下信一

目標を見失って

 俳優で考古学者の苅谷俊介さん(74歳)が、'11年に渡哲也さん('20年逝去、享年78)の自宅を訪ねたとき、こんな出来事があったという。

 渡夫人に迎え入れられたものの、居間にも応接間にも渡さんの姿がなく、案内された先はキッチンだった。夜中なのに電気もつけず暗闇の中でポツンと座っていた渡さんは、絞り出すような声で苅谷さんにこう言った。



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