[ドキュメント]あなたの隣にいる「産業スパイ」

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まるで令和版『黒の試走車』

日本を代表する2つの巨大IT企業が、ひとりの「スパイ」を挟んで揺れている。企業がどんなに厳重に対策をしても、巧みな技で情報を盗み取る。果たして彼らはどんな手口で入り込んでくるのか。

仕組まれた偶然

 4年前のことである。外資系製薬会社に勤める西本明浩氏(仮名)は、中国南部にある国際空港のラウンジに座っていた。ジェネリック薬の買い付け交渉に行くため、インド・デリー行きの飛行機を待っていたのだ。すると、隣に腰かけていた男が、微笑みながら「日本人ですか?」と日本語で話しかけてきた。小柄で精悍(せいかん)な顔つきをした白人のこの男はSと名乗った。香港生まれのニュージーランド人だという。



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