[特別読み物]藤圭子と高倉健がいた時代

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『網走番外地』に『唐獅子牡丹』――その憧れの男を
追いかけた女は、「怨歌」を世に送った。
二人の生きざまに、激しく心を揺さぶられたあのとき

銀幕の中に生きた高倉健と、儚(はかな)くて危うい絶望を歌う藤圭子。まるで正反対の生き方を送った彼らは、実は強く共鳴し合っていた。時代を象徴する「陽」と「陰」。二人はそれぞれの人生を駆け抜けた。

健さんの歌をカバー

 1971年、一枚のレコードが発売された。人気絶頂だった歌手・藤圭子のシングル『知らない町で』だ。そのレコードは他でもない、藤自身にとってかけがえのない意味を持っていた。

 この音源のカップリングに収録された曲の名は『圭子の網走番外地』。昭和を駆け抜けた俳優・高倉健の代表作『網走番外地』の主題歌を藤がカバーしたものだった。


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