[本格ノンフィクション連載]ゼットの人びと 第5回 たった二人の「トヨタ最小チーム」
社会 | 2021.01.07 |
トヨタ「特命エンジニア」の肖像
人々がドリフトに熱狂した時代から、十年、二十年と時は過ぎた。だがトヨタには、スポーツカーへの憧れの炎を絶やさない男たちがいた。彼らは社内最小の部署で、伝説のクルマ復活へ第一歩を踏み出す。
清武英利(ノンフィクション作家)
人々がドリフトに熱狂した時代から、十年、二十年と時は過ぎた。だがトヨタには、スポーツカーへの憧れの炎を絶やさない男たちがいた。彼らは社内最小の部署で、伝説のクルマ復活へ第一歩を踏み出す。
清武英利(ノンフィクション作家)
前回までのあらすじ/'07年1月、トヨタの中枢部署「Z」でチーフエンジニアを務める多田哲哉は、長年途切れていたスポーツカー開発の特命を言い渡された。トヨタとスバルの提携を背景に、役員らが下した異例の決断だった。一方、これを不採算部門への異動と受け取った社内には「多田は左遷されたのではないか」との噂が立つ。
なんで僕が?
「やっぱ シルビアはやめて ハチロクさがそう それなら現実味があるよ……」
累計五千万部を売ったコミック『頭文字(イニシャル)D』は、車好きの高校生の会話から始まる。一九九五年に『週刊ヤングマガジン』で、しげの秀一が連載を開始したころ、スポーツカーはまだ、若者の心をとらえていた。
累計五千万部を売ったコミック『頭文字(イニシャル)D』は、車好きの高校生の会話から始まる。一九九五年に『週刊ヤングマガジン』で、しげの秀一が連載を開始したころ、スポーツカーはまだ、若者の心をとらえていた。
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