三匹のおっさん記者、東京地検特捜部を語る 連載第4回 大蔵省接待汚職 エリート官僚を逮捕せよ!

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ノーパンしゃぶしゃぶ。奇態な飲食業を満天下に知らしめた金融機関による大蔵官僚の接待。国民は腐敗を抉(えぐ)る検察に喝采を送ったが、その裏ではある大物の処遇を巡って暗闘が繰り広げられていた。

「強いものに弱い検察」

小俣:リクルート事件で竹下登総理を退陣に追い込んだ特捜部は、その後も国際航業事件、イトマン事件、東京佐川急便事件と大きな事件を次々と手掛けていきました。ところが東京佐川急便事件に関連して'92年に発覚した「金丸ヤミ献金事件」で、大変な窮地に追い込まれました。

村山:金丸信・自民党副総裁*1が東京佐川急便側から5億円ものヤミ献金をもらっていた。特捜部は政治資金規正法違反の疑いで出頭要請したが、金丸氏は応じなかった。そのため、特捜部は金丸氏本人の取り調べを見送り、罰金20万円の略式起訴で決着させてしまった。一方で1億円のヤミ献金をもらっていた金子清新潟県知事は公判請求。2人の容疑は異なり、法定刑も違っていたが、その落差に「強いものに弱い検察」と厳しい批判が起きました。

村串:検察庁の看板に黄色いペンキがぶっかけられたりしましたね。そのさなか、'93年1月に国税庁から持ち込まれたのが1枚の一覧表。金丸氏の「割引金融債*2」購入履歴が記されたもので、資産隠しの疑いを強く匂わせる資料でした。国税は検察を助ける材料になると考えて持ち込んだんでしょう。


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