[特別読み物]はや七回忌 高倉健が最後にやりたかったこと

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高倉健の突然の死から、6年が経つ。亡くなるわずか3ヵ月前、彼はひとり車を駆って、ある場所に向かっていた。「日本人に最も愛された俳優」は、83年の生涯の果てに何を残そうとしていたのか。

森 功(ノンフィクション作家)

幻の「206本目」

 高倉健は2014年11月10日午前3時49分、東京・信濃町にある慶応病院の特別室で息を引き取った。それからちょうど6年の歳月が流れた。今度の命日が七回忌にあたる。コロナ禍の中、郷里の福岡県中間市でおこなわれる法要には、親族と生前に縁のある関係者だけが集う。だが、高倉健の死後、とつぜん現れ、高倉プロモーション社長の座に就いた養女は、そこに呼ばれていない。



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