かぐや姫『神田川』が日本の青春だったころ、僕は……

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特別企画
世界は哀しいのに美しく、
貴方のやさしさだけが怖かった

「貴方はもう忘れたかしら」。この歌を耳にした途端、切ない別れの記憶が蘇ってくる。誰だって青春の挫折を胸に秘めて生きているもの。『神田川』は、そんな僕たちの生き方をそっと肯定してくれる。

赤い手ぬぐいをマフラーに

「『神田川』を聴いて、特にジンとするのが『小さな石鹸 カタカタ鳴った』のくだりです。

 僕の最初の女房は、父の姉の娘。つまり、いとこだった。当時、僕は伯母の家に下宿していたのですが、伯母は僕と彼女が結婚することに猛反対していました。世間体もあったのでしょう。普段は、僕たちが口をきくことさえ許してくれませんでした。



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