東京土地物語 第15回 後楽園に無人の「新築億ション」が打ち捨てられるまで

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欲望と記憶が刻まれて

都内随一の文教地区でいったい何が

人の住む気配がない一等地の高級レジデンス。この物件、4年前の引き渡し直前に建築確認が取り消される、前代未聞の事態を起こしている。繰り返される裁判の果てに、このマンションはどうなるのか。

平井康章(ノンフィクションライター)

「お引き渡しできない」

「あの巨大マンションが建ったせいで、何百人もの人々の人生設計が歪(ゆが)められてしまったんです」

 地元住民がそう言いながら指差す先には、地上8階・地下2階建て、高さ27mの巨大マンションがそびえていた。



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