東京土地物語 連載第2回 六本木ヒルズ誕生 夜の街の「知られざる17年」

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大反響!
欲望と記憶が刻まれて

反対派を説得せよ!

大人の歓楽街を昼も楽しめる街へ変えた六本木ヒルズだが、完成までには長い道のりがあった。11ha超の土地に、地権者は400人。前代未聞のプロジェクト現場にいた森ビルの2人が当時を振り返る。

平井康章(ノンフィクションライター)

元は崖だらけの街だった

 平成という時代の間に、その役割を変えた東京の街はいくつかある。なかでも六本木は「夜の街」から「昼の街」へと変貌を遂げた珍しいケースだ。

 2000年代初頭までの六本木と言えば、外国人や芸能人、若いサラリーマンが行き交う歓楽街だった。勤め帰りに六本木交差点の「アマンド」前で友人と待ち合わせ、食事を終えたら女性のいるクラブ、あるいは踊るほうのクラブに流れていく――。そんな経験のある人も少なくないだろう。



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