なりもの ヤフー・井上雅博伝 第8回 社長か、その他大勢か/森 功

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大型連載
祖師谷団地が生んだインターネットの英雄

団地に生まれ、都立高校に進み、将来は数学教師になる――。そんな道を歩んでいた青年は、黎明期のコンピュータプログラミングの世界に心を奪われる。「なりもの」の運命が、大きく動き出していた。

森 功(ノンフィクション作家)

前回まで/世田谷・祖師谷団地で生まれた、事実上のヤフージャパン創業社長・井上雅博。井上は都立高校、東京理科大学に進学した。しかし、かつての同級生たちは誰も井上がヤフー社長だったことを知らなかった。

パソコンとの出会い

 ヤフーの幹部社員をはじめ、本人をよく知る友人の多くは、井上雅博のことを「オタク」と表現した。平たくいえば、自らの興味を貪欲に追求する凝り性タイプだが、凝り具合が並外れている。井上はのちに別荘に専用ガレージをつくり、日本屈指のクラシックカーマニアとなる。その趣味は大学生のときに始まった。



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