トッカイ――バブルの「しんがり」たち 最終回 俺たちは勝ったのか

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「京都の怪商」との闘い、ついに決着!
話題沸騰のヒューマン・ノンフィクション連載

西山正彦に対する20年に及ぶ執念の追及は、佳境を迎えようとしていた。だが差し押さえた口座から、あるはずの40億円は忽然と消えていた。海外に消えたカネはどこへ? 最後の闘いが始まる。

清武英利(ノンフィクション作家)

前回まで/住専から借りた186億円を返さず、「整理回収機構」大阪特別回収部(トッカイ)からの取り立てを受けている西山正彦。民事訴訟でトッカイは勝利したが、口座を開いてみると預金残高は1041万円しかなかった。

たびかさなる隠匿工作

 大阪・東梅田に近い大手銀行大阪支店に、男女二人が訪れていた。2013年2月4日、立春の日のことである。彼らの申し出は、ほぼ次のような内容であった。

「貸付金を送りたいので、明日、39億6000万円をスタンダード・チャータード・プライベートバンク・ホンコンの、ある口座に送金してほしい。カネは明日までに用意して、この支店の口座に集めておきます」



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