[総力特集] 西日本豪雨と優しい日本人

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この国はまだまだ捨てたもんじゃない

都市部から、わずかに車を走らせるだけで、土砂に埋まった街があった。未曾有の豪雨が残した爪痕はあまりに深い。だがその一方で、すでに被災地の人々は前を向いて動き始めていた。

【1】
東日本大震災を体験してわかったことがある
岩手在住の直木賞作家・高橋克彦氏
遠く東北から被災地を想う
「大丈夫。時間はかかっても、必ず起ち上がれる」

 今の時代に、雨によってこれだけの大きな被害が出るとは、最初は信じられませんでした。建物の耐震構造など気にしなかった時代には、台風による被災者の数は相当な数にのぼりました。昭和34年の伊勢湾台風では、およそ5000人が亡くなっています。あれから60年ほどの年月が経ち、防災意識も建物の構造も大きく進歩しました。ところが、西日本豪雨のニュースを見ていると、発生から日が経つに連れて亡くなった方や行方不明者が増えていった。雨が収まった後の被災地の様子をテレビで見ていると、東日本大震災の津波が襲った後のシーンと重なり、ゾッとしました。



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