先崎学 九段 元祖・天才棋士が「うつ病」と向き合った1年間

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泣ける特別インタビュー

人生を投了しかけたこともあった

将棋界の大御所がある日を境に突如、表舞台から姿を消し、世間をざわめかせた。暗闇の日々の中で、いったい彼は何を見たのか。将棋一筋に生きてきた先崎学九段に聞く壮絶「うつ抜け」体験談。

今日より明日がつらい

 すこしまえから予兆はあったのですが、自分が本格的におかしくなっているな、と感じたのは、昨年7月の順位戦の初戦でのことです。若手を相手に負けてしまったのですが、それが問題ではない。頭がフワフワして、思考がまとまらない。読みもせず、ふらっと指してしまう。将棋の内容すら自分では判断できません。でも、これはめちゃくちゃだなということだけがわかるのです。

〈こう語るのは、棋士の先崎学氏(48歳)だ。羽生世代と言われる棋士の中でももっとも早い11歳で奨励会に入会、永世棋聖・米長邦雄氏に師事する。17歳で四段に昇段し、プロデビュー。'90年のNHK杯戦では同い年の羽生善治氏を準決勝で破り、棋戦初優勝を果たし、'14年には九段に昇段した。



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