ノンフィクション新連載 トッカイ――バブルの「しんがり」たち 第3回 新たなボス・中坊公平が下した「特命」

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バブル崩壊によって住専は破綻した。だが、貸し付けたカネは誰かが回収せねばならない。回収要員として雇われたのは、当の住専社員たち。矛盾だらけの組織で、男たちは退路を絶たれ、特命を帯びた。

清武英利(ノンフィクション作家)

前回まで/旧住専(住宅金融専門会社)や銀行などから借りたまま、隠匿されている資金がある。それら「回収困難債権」を取り立てるため、「追跡」を続ける男たちこそ、「トッカイ」(=不良債権特別回収部)である。

玉石混交のメンバー

 皇居を背に新宿通りをずんずん西へ、東京の千代田区と新宿区を隔てるJR中央本線を越えて行けば、そこは四谷三丁目、中層の雑居ビルが並ぶ顔のない街である。交差点から歩いて約5分のところに、秋暑の陽射しに炒(い)られた8階建てのビルがくたびれて立っており、がらんとした一室に78人の男たちが集められていた。



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