[連載]裁判官よ、あなたに人が裁けるか・第二部 第1回 死刑判決を下した裁判官の「それから」/岩瀬達哉

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精神に変調をきたした者、
法廷を去った者……
それぞれの思い

法廷に立った被告から命を奪う――。「死刑」という、あまりにも重い決断を迫られる裁判官たち。彼らは、何を思い判決文を読み上げているのか。悩み、迷い、時には心を病む。法服の裏に隠された内面に迫る。

岩瀬達哉(ジャーナリスト)

刑事裁判官たちの怒り

 人を裁き、裁かれた者の運命を差配(さはい)する裁判官には、心からの謙虚さをもってその職務にあたることが求められている。

 法廷に立つ者の必死の叫びに耳を傾け、ささいに思える主張についても慎重に吟味し、真実探求の努力を惜しまないことでしか、正義の実践を成し得ないからだ。



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