週現『熱討スタジアム』第266回 八代亜紀『舟唄』を語ろう 今週のディープ・ピープル 小西良太郎×永沼一郎×上柳昌彦

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♪お酒はぬるめの燗がいい
年の瀬に聞くと
しみじみ飲みたくなる

港町の漁師が居酒屋で女性を思い、寂しく一杯――。そんな詞の世界が鮮明に浮かび上がる男歌は、彼女のハスキーな歌声だったからこそ、見事に完成された。

阿久悠の詞が全部ボツ

上柳:僕が最初に八代亜紀さんを意識した曲は、『なみだ恋』('73年発売)です。「夜の~新宿う~ら通り~♪」で始まるこの曲は、ちょうど僕が都立新宿高校に進学が決まった頃にヒットしていました。高校があった新宿南口は当時、風俗店や安い旅館が軒を連ねる雑然とした場所で、「これが八代さんが歌っている大人の世界なのか」と通学しながら感じていました。



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