死にかけの東芝でこれから起きること 磯山友幸×大西康之

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知られざる「1兆円規模」のリスクがまだある

「決まる」「大丈夫」。東芝の経営陣が自信を持ってそう語った数日後には、裏切られる――。もはや大企業の体を成していないこの巨象の内実を、東芝取材を続けるジャーナリストが語り尽くす。

ブロードコムが逃げた理由

大西:東芝は半導体子会社の売却について、産業革新機構、日本政策投資銀行、米ベインキャピタル、韓SKハイニックスの「日米韓連合」に優先交渉権を与えることを決めましたが、直前までは別のシナリオが走っていたんです。

磯山:というと。

大西:当初は米ブロードコムで行くことになっていて、産業革新機構も、その背後にいる経済産業省も了承して、話が進んでいた。誤算だったのが、東芝と半導体工場を共同運営している米ウエスタンデジタル(WD)の動き。売却の差し止めを求めて米上級裁判所に提訴するなど、想定以上に強硬に出てきた。ブロードコムは、WDのことは同じ米企業同士として手の内をよくわかっている。それで勝てないと踏んだのか、「降りた」と。



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