宇能鴻一郎「官能小説」傑作選 第五十六回〈豪華船黄門ツアー(下)〉

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今回掲載した「豪華船黄門ツアー」は、1995年に刊行された『社内(秘)OL妻』に収められた一編。オーナー会長の身の回りの世話をするために共に豪華客船に乗船した会長秘書は、偶然にも会社の元先輩社員で現在は手品師となった中村と出会う。会長には秘密のまま、中村の部屋で結ばれた二人だったが……。
 エレベーターで二階に上がり、インフォメーション・カウンターで、船酔いのクスリを取って、六階に上がった。

 平安丸の内部は大ホテルと同じだけど、廊下には必ず、手すりがついてる。

 少し揺れだしたので、手すりにつかまって、スイート・ルームにもどった。

 快い疲れで、あたし、翌朝も、グッスリ眠ってたんだけど。

 会長、朝早くから起きだして、ゴソゴソやってたんです。



会員の方は