「検察・国税担当」記者は見た!

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ロッキード事件、 金丸脱税事件、新薬産業スパイ事件
――検事もワルも、みんな人間臭かった

検事だって人間だ。巨悪に対して憤り、事件が潰れれば涙する。彼らと盃を交わし、ときには出禁処分を受けてでも食らいつく。元エース記者が見た「最強の捜査機関」特捜部と国税庁の実像と虚像。

元東京新聞編集委員 村串 栄一

金丸の体がぐらりと揺れた

 '93年3月6日夜。一報が入ったとき、全身に電撃が走った。自民党副総裁だった金丸信の脱税容疑による逮捕。田中角栄の衣鉢を継ぐ政界最大の実力者だった。

 私は当時、中日新聞社(東京新聞)の社会部デスクを担当していた。しかし、この逮捕は寝耳に水だった。すべてのメディアが完全に検察に出し抜かれたのである。私は急いで取材体制を整え、検察担当、事件遊軍、国税担当に連絡して、あちこち走らせた――。


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