東の田園調布、西の芦屋六麓荘 創刊56周年特別企画「大金持ち」が住む街を歩く

[ptitle]
●誰が住み、誰が去ったか
●地主と新興住民の確執
●通り一本の違いが格差を生む
●町内会の特別ルール……

日本の栄枯盛衰をずっと見てきた

ほんの一握りの人間にしか住めない超高級住宅街。そこに住む人々は何を見て、何を考え、何を望んでいるのだろうか。東西の街を実際に歩いて、彼らの「素顔」と「暗黙のしきたり」に迫った――。

「上には上がいる」

 東急田園調布駅の改札を抜けると、左手には'10年に復元された旧田園調布駅舎が姿を現す。

 朱色の屋根を持ち、ヨーロッパ民家を思わせるその駅舎をくぐると、小さな広場を囲むロータリーに出る。

 そこには真っ白なベンツ、黒塗りのアウディ、銀色のBMWが次々と乗りつけてくる。身なりのよい紳士淑女を降ろしては乗せ、放射状に伸びた5本の道路のいずれかに消えてゆく。

 駅前を歩く、大型犬ボルゾイを連れた夫婦に話しかけた。


会員の方は